スペイン語の受動文を完全攻略!文法ルールと使い方の徹底解説

スペイン語の文法

スペイン語の文法において『受動文(la voz pasiva)』は、動作の焦点を行為者ではなく、その行為の受け手に当てたいときに使う重要な表現方法です。これは、日本語や英語でも同様で、「〜される」「〜られる」という形を使って、行動を受ける側にスポットを当てる文構造です。

例えば、「マリアが手紙を書いた」という能動文は「手紙はマリアによって書かれた」という受動文に変換することができます。このように、受動文では動作を行う主体(マリア)ではなく、動作を受ける対象(手紙)に焦点を当てて話すことができます。

この記事では、スペイン語の受動文の構造、使い方、能動文との違い、よく使われる表現、時制ごとの変化などを解説します。スペイン語初心者でも理解しやすいよう、丁寧に説明していきます。

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受動文の基本構造

スペイン語の受動文は、動詞serと過去分詞を組み合わせて構成されます。このとき、過去分詞は文中の主語に合わせて**性(男性・女性)数(単数・複数)**を一致させる必要があります。また、動作の主体を示す際には、通常「por + 行為者(動作を行った人や物)」が加えられます。

受動文の構造

  • 主語 + serの活用形 + 過去分詞 + por + 行為者

例文

  • La casa fue construida por un arquitecto.
    (その家は建築家によって建てられた)

ここでは、主語は「la casa」(家)で女性名詞の単数形なので、過去分詞「construida」も性と数が一致しています。「por un arquitecto」で動作を行った主体(建築家)を示しています。

性と数に一致した過去分詞の変化例

主語serの活用過去分詞性・数一致
El libroesleído男性・単数
Los librosfueronleídos男性・複数
La puertafuecerrada女性・単数
Las puertasfueroncerradas女性・複数

このように、過去分詞は主語の性と数に応じて変化します。

受動文と能動文の違い

能動文は、動作を行う主体(行為者)に焦点を当てる文です。一方、受動文は、行為の結果やその受け手に焦点を当てます。以下に能動文と受動文の違いを見てみましょう。

能動文の例

  • María escribió la carta.
    (マリアが手紙を書いた)

受動文の例

  • La carta fue escrita por María.
    (手紙はマリアによって書かれた)

両者の違いは、能動文では行為者(María)が主語であるのに対して、受動文では動作の対象(la carta)が主語になっている点です。受動文では、動作を受けた結果に重点が置かれているため、行為者があえて明示されないこともあります。

受動文を作るための手順

スペイン語の受動文を作る際には、以下の手順を踏むことが一般的です。

動作の受け手を主語にする

まず、能動文の目的語(動作を受けるもの)を主語に変えます。

  • 能動文:María escribió la carta.(マリアが手紙を書いた)
  • 受動文:La carta fue escrita por María.(手紙はマリアによって書かれた)

serの適切な活用形を使う

能動文で使われている動詞の時制に応じて、serの適切な形に変えます。例えば、現在形ならes、過去形ならfue、未来形ならseráなど。

過去分詞を主語に合わせる

過去分詞は、主語の性(男性・女性)と数(単数・複数)に一致させます。

行為者を加える

動作を行った人や物を明示する場合、「por + 行為者」を付け加えます。行為者が不明であったり、強調する必要がない場合は、porを省略することも可能です。

受動文における時制の変化

スペイン語の受動文は、動詞serの時制に応じて、過去・現在・未来など、さまざまな時制で使われます。ここでは、受動文の時制の変化を例を挙げて解説します。

現在形の受動文

  • El libro es leído por muchos estudiantes.
    (その本は多くの学生に読まれている)

過去形の受動文

  • El libro fue leído ayer.
    (その本は昨日読まれた)

未来形の受動文

  • El libro será leído por Juan.
    (その本はフアンによって読まれるだろう)

過去完了形の受動文

  • El libro había sido leído por todos antes del examen.
    (その本は試験前に全員に読まれていた)

このように、受動文はserの時制を変えるだけで、さまざまな状況に応じた表現が可能です。

受動文と前置詞の使い方

受動文では、行為者を示す際に通常「por」を使いますが、文脈によっては「de」を使う場合もあります。以下はその違いです。

por の使用

porは、動作を行う人物や主体を示すために使います。

  • 例:La casa fue construida por el arquitecto.
    (その家は建築家によって建てられた)

de の使用

一部の表現では、deが使われ、特に感情や状況の原因を示す場合に使用されます。

  • 例:Estaba rodeado de amigos.
    (彼は友達に囲まれていた)

性と数の一致に注意

受動文で使われる過去分詞は、主語の性と数に応じて変化します。この点に注意することで、文法的に正しい受動文を作ることができます。

  • El libro fue leído.(その本は読まれた)→ 男性・単数
  • Los libros fueron leídos.(それらの本は読まれた)→ 男性・複数
  • La puerta fue cerrada.(そのドアは閉められた)→ 女性・単数
  • Las puertas fueron cerradas.(それらのドアは閉められた)→ 女性・複数

このように、主語に応じた過去分詞の変化を必ず確認しましょう。

非人称の受動文(Pasiva refleja)

スペイン語には、「se」を使った**非人称の受動文(pasiva refleja)**があります。この形式では、特定の行為者を明示せずに、動作の受け手だけを表現することができます。特に新聞記事や広告、日常会話などでよく使われます。

  • Se vendieron todas las entradas.
    (すべてのチケットが売れた)
  • Se habla español aquí.
    (ここではスペイン語が話されています)

このse構文は、特に受け手にフォーカスしたい時や、行為者を強調したくない時に便利です。

受動文を使った表現のバリエーション

受動文は、正式な文章や論文、報告書などでよく使われます。例えば、ニュースや新聞記事では、客観的に事実を伝えるために受動文が多用されます。また、科学論文や技術書でも、結果やプロセスに焦点を当てるために受動文が頻繁に使われます。

  • El nuevo descubrimiento fue realizado por un equipo de científicos.
    (新しい発見は科学者チームによって行われた)
  • El edificio fue destruido por el terremoto.
    (その建物は地震によって破壊された)

まとめ

スペイン語の受動文は、動作の受け手に焦点を当てたい場合に使われる重要な文法構造です。基本的な構造「ser + 過去分詞」を理解し、性と数の一致に気をつけることで、正しい受動文を使いこなすことができます。また、非人称の受動文(se構文)もよく使われる表現形式で、行為者を明示せずに動作を伝えたい時に便利です。

この記事で学んだ内容を元に、受動文を日常のスペイン語表現に取り入れ、自然で正確な文章を作成できるように練習していきましょう。

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